「なるほど」と云ったのは宇和島という武士で、当惑を顔へ現わした。

「なるほど」と云ったのは宇和島という武士で、当惑を顔へ現わした。「いや左様なお取り込みとも存ぜず、お訪ねしてかえって失礼をいたした。拙者は大阪表より――平野屋と申す大家より、大切の品物をあずかって、持参いたしたものでござるが、御主人が不在とあって見れば、その品物は渡し難く、一旦宿元へ持ち帰りましょ...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 02:07 pm  

手代の長吉と娘の品子と、そうして今しがた訪ねて来た、宇和島鉄之進という若侍である。

17

「町役人の方が参りまして、主人に逢いたいと申しました。そこで丁寧に奥の間へ通し、その旨を主人に申しましたところ、早速主人はそのお方にお逢いし、しばらくお話しして居りましたが、私は手代のことではあり、その場にも居らず、立聞きもせず、店へ参って居りますと、やがてそのお方がお帰りになり、主人も送っ...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 02:06 pm  

「俺には解《わか》る! あの一味だ! ……偉いことになったぞ、偉いことになったぞ! ……こんな大物になろうとは、夢にも俺は思わなかった!」

「おかしいなあ、何者だろう? ……宇和島という武士に相違ない。よし来た、一番、つけて[#「つけて」に傍点]やろう」 追っかけようとしたが駄目であった。その時一群の人間が、彼の方へ走って来たからである。「不可《いけ》ない! しまった! あいつらだ! 多勢に一人、とっ[#「とっ」に傍点]捉まる!」...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 01:59 pm  

T: Y: ALL: Online:
Created in 0.0260 sec.

http://abcoeasydoor.com/